吉本 祐寛

星槎国際高等学校 福岡中央学習センター
担当科目:保健体育
入社年度:2011年4月

失敗しても諦めなければ新しい挑戦ができる場所。
成功の反対は失敗ではなく、
諦めることだということを星槎で学びました。

教員になりたいと考えた理由は?
高校時代に部活の顧問の先生に出会ったことがきっかけです。生徒の意見を尊重し、教員としてではなく、常にひとりの大人として私たちと正面から関わっていただきました。私のスポーツ人生は大学を含め良い指導者というか専門の指導者に出会ったことがなく、唯一その顧問の先生が専門の指導者でもありましたし、なんでも相談できる良き理解者でもありました。そんな恩師のようになりたいと思い、「体育の教員になるのは厳しいぞ」というアドバイスを押し切って体育大学に進学したことを覚えています。当時は就職氷河期の真っ只中で一般企業の採用もごくわずかという時代でしたが、恩師のような教員になりたいという一心で一浪して大学へ進学しました。その後、いくつかの職を経験して現在に至ります。
SEISAに入社した経緯(理由)は?
「通信制で学校らしくない高校があるけど、星槎に来ませんか?」と知人に声をかけてもらったことがきっかけです。それまでは違う教育機関に勤務していましたが、頭の片隅に「いつかは高校の教員になりたい」という気持ちは継続して持っていました。田舎育ちの私が都会の大学に進学し、たくさんの人と出会う中で「一人に人間として物事を伝えることができる大人になりたい」と思うようになったころ、「教員」という手段を使って「学校」という場所でそれが実現できる「星槎」に出会いました。
教員として大切にしていることは?
教師ということではなく、大人として、ひとりの人間としてありまのまま正直に接することを常に心がけています。そして、互いに成長していくことを大切にしたいと思っています。子どもたちの夢の実現に向けて、どのように子どもたちと取り組むか、そのための支援を行うかもまた大人の役目だと考えています。あとは、変化を見逃さないこと。雰囲気を感じ取ること。今日は何か違う、何かおかしいと感じたら声のかけ方も違ってくるし、対応も変えていかないといけない。「教員として」というか、「人として」という部分を大切にしています。
教員として喜びややりがいを感じるときは?
学校から帰る生徒たちが、満足している顔や何かに夢中になっている顔をしているときです。学校はどうしても勉強というイメージが強くなりがちですが、例えば今日の授業で内容は理解できなくても「なんか面白い」と思ってもらえるかが勝負だと思っています。そう思ってもらえると、子どもたちの目の輝きが変わるんですが、その一瞬が勝負なんです。そこからいろいろな話をしたり、やって見せたりと、次につなげるために真剣に向き合っていると子どもたちも夢中になって、気づいたらいつの間にか同じ方向を向いている。100%までは合致していないかもしれないけど、お互いが同じ方向を向いているなと感じる瞬間は嬉しいですし、子どもたちの成長度合いはそれぞれですが成長し続ける子どもたちから元気をもらったり、変わろうと努力しつづける子どもたちの姿勢に学ぶことが多くあります。

教員生活で思い出に残っているエピソードは?
いろいろありますが、直近であれば一昨年に卒業した子どもたちのことです。
その子どもたちが1年生のとき、冬の本部校スクーリングに行った際に一つ屋根の下で3泊4日を過ごすことになりました。冬の本部校スクーリングは主にスキー実習で、生徒たちを習熟度別に班分けして実習を行います。班分けでは、学校生活で関わりの少ない子どもたちの班を一つ構成しました。もちろん、今後の学校生活で関わりを持たせたいと考えてのことです。その班は、元気の良い生徒、人とのコミュニケーションを苦手とする生徒などさまざまでした。
初日の基礎練習の際、元気の良い子どもたちから「疲れた」との声が連発して班行動が難しくなり、インストラクターの方と相談していました。そのとき、コミュニケーションが苦手なA君が「リフトに乗って滑りながら基礎練習をやれば?」と提案してくれたんです。状況を考えてのA君の提案に私もインストラクターの方も賛成し、さっそくリフトで山頂に向かいました。
山頂では、基礎が身についてない元気の良い子どもたちは滑ることなどできずてんやわんやでしたが、A君はインストラクターの方の後ろをしっかりと滑っていました。聞けば、A君は基礎練習を一番真面目にやっていたそうです。元気の良い子どもたちもA君の滑りと真面目さに脱帽したのでしょう。自分勝手に滑ろうとしていた態度を一変させ、A君の後ろを滑るようになったのです。それからというもの、元気の良い子どもたちはA君と積極的に関わろうとし、A君もまた自分からコミュニケーションをとるようになりました。そして、そのときの経験は学校生活でも活かされ、文化祭や校外学習などではお互いの居場所をそれぞれの子どもたちが考え、クラスの仲間として行動できるようになっていきました。
その子どもたちが、卒業式後の最後のHRでホワイトボードに私の似顔絵と感謝のメッセージを描いてプレゼントしてくれたんです。たくさん迷惑をかけたけれど、感謝していると。感動でした。立場は教員ですが、人と真剣に関わる人間としてたくさんのことを学ばせてもらったクラスでした。
SEISAの良さとは?
生徒を考えながら、生徒の成長を見届けながら、自分もものすごい勢いで日々成長できる場所だと思います。それは、上から与えられる課題ではなく、自分自身が問題の当事者として取り組める環境があるからです。多くのことに挑戦し、そして失敗しても失敗に対して諦めなければ新しい挑戦ができる場所。成功の反対は失敗ではなく、諦めることだということをこの星槎で学びました。そして、困ったり悩んだりしたときは、全国にいる仲間と語らうことができる。これは他にはない環境だと思います。
枠にもとらわれない部分もいいですね。前例踏襲なんてことがないし、常に新しいことを取り入れて子どもたちと関わりを持つ。枠にこだわり過ぎるとそこから出る自由さや行動力がなくなって面白さがなくなってしまいますが、星槎にはそれがまったくありません。
今後の目標は?
「いつか」という言葉がつきますが、すべての子どもたちが安心してありのままの自分でやりたいことを創造し、自由に行動できる環境をつくっていきたいと思っています。子どもたちはさまざまな経験を通して人とのつながりや社会性を学んでいきます。経験を通して学んだことは、生涯忘れることのない想い出になって、それが生きていく力につながると思います。大人がつくったルールではなく、子どもたちの自由な発想でつくったルールで、いろんな人たちが集える場所にしていければと思っています。
SEISAの教員を目指す方へ
仕事を選ぶというのはエネルギーがいります。たくさんの可能性の中からあえてこの仕事を選んだのはなぜかと後になって考える機会が必ずあると思います。そんなとき、ここを選んで良かったと思えるようにするためにも、ご自身の経験やこれからの姿などをしっかりと考えてみていただきたいと思います。その上で、やはり星槎で仕事がしたいと思えるとしたなら、ぜひ選択してほしいです。この職場には、それに応えてくれる環境があります。きっと後悔はしないと思いますよ。

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